一人ちんぐり返し~古希親父⑰
禿げた頭の中で閃く古希親父和尚
御利益というものは具体的には何も指してはいない
信じる者の心のありようにかかわっている
要は御利益があったと感じるかどうか
障子一枚向こう側の男の千擦りの動きが激しい
障子の穴を見上げてきた
目と目が合うのを避けるため、古希親父和尚は、身体を沈める
俺の臀部も沈む
障子の向こうで男が絶叫
「うわあ!!穴から穴が見える!!」
ばたんっ!!
男が廊下の上に尻餅をつく
見ようによっては、一人ちんぐり返し
古希親父和尚は、障子の穴の位置に接合部を見せるつもりが、ちょっとばかり俺が尻の角度を上げすぎていたようだ